槍ヶ岳開山

8月に初めて槍ヶ岳の登って、いやーすごい山だなあーと思って下山してすぐに購入。その後、何回か読もうとしたんだけど、江戸後期の台詞回しが時代がかっていて、どうしても頭の中で時代劇になっちゃって笑ってしまって読めず。

入院中の暇さなら読めると思って持ち込んだら、半日で読み終わってしまった。面白い。

未踏の岩峰・槍ヶ岳を初登攀した念仏僧・播隆の伝記となっているけど、ある程度の史実をベースにしたフィクション。実際は宗教的な情熱で開山したようだけど、この作品では妻殺しの呵責からの救済が主軸になっている。その救済に深く関わる弥三郎の最後の告白が、業にまみれていてとても良い。

全く史実とは異なるらしいけど「なんでそこまで苦行を科して開山するのか?」を非宗教的な現代人が納得するにはそういう話にするしかないんだろうな。と思った。

しかし、新田次郎の主人公は基本的に愚直で清廉潔白な孤立主義で、世間一般を俗物の塊みたいに敵視してて危なっかしいなあ。作者にも基本的にそういう気質があったんだろうか・・・

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